このレッスンでは、各取引を発注する前に保証金(TWSでは証拠金)がどこに表示され、取引後に株式ポートフォリオにどのような影響が生じるかを把握する方法を解説します。動画は、米国のルールベースのレギュレーション(Reg T)の適用口座を前提としていますが、ツールの表示内容は、現金口座を利用する場合でも、リスクベースのマージン口座を利用する場合でも同じです。ただし、証拠金額への影響は異なる可能性があります。なお、証拠金所要額は、インタラクティブ・ブローカーズの判断と市場環境の変化に応じて変更される場合がある点にご留意ください。
TWSでポートフォリオの保証金(証拠金)状況を表示する
まず、現金のみを保有するポートフォリオから始めましょう。「ポートフォリオ(Portfolio)」タブでは、画面右上に証拠金のマトリクスが表示され、以下の項目が並んでいます。
- 純清算価値(Net Liquidity)または純資産評価額(Net Liquidation Value):すべての資産の時価評価合計額
- 余剰流動性(Excess Liquidity):貸付金額を含む資産価値(Equity with Loan Value、ELV)から維持証拠金を差し引いた額、または、ポートフォリオを維持するために現在必要な証拠金を超えて投資家が保有する資産の額のことをいいます。
- 特別与信枠(SMA: Special Memorandum Account):マージン口座内の有価証券の時価が上昇した際に付与される追加の信用借入枠
この表示により、ユーザーは自身のポートフォリオの状況とレバレッジを一目で確認できます。より詳細に確認するには、上部の「口座ウィンドウ(+ACCOUNT)」アイコンをクリックします。
「口座ウィンドウ」では、3つのセクション―「残高(Balances)」「証拠金要件(Margin Requirements)」「取引可能余力(Available for Trading)」―を展開できます。たとえば「残高」セクションには、Net Liquidation Value(純資産評価額もしくは純清算価値)やEquity with Loan Value(貸付金額を含む資産価値)が表示されます。また、各パラメータの用語にカーソルを合わせると、口座タイプ別の定義が表示されます。
ポジションがなければ、証拠金所要額はゼロです。「取引可能余力」のうち、「現在の利用可能資金」(Current Available Funds)は現金額と同じで、この時点では「純資産評価額」(Net Liquidation Value)と等しくなります。買付力(Buying Power)は、現在の証拠金ルールの下で投資家がポートフォリオに保有できる有価証券の価値の目安を示します。この例では、レバレッジは約4倍と表示されています。口座ウィンドウを閉じる前に、下部の「ポートフォリオ(Portfolio)」セクションをご覧ください。レッスンの後半では、このエリアに保有ポジションが表示されます。口座ウィンドウを閉じるには、右上隅の「×」をクリックします。
投資家は、注文エントリー(Order Entry)パネルの入力欄にシンボル(銘柄コード)を入力することで取引を発注できます。「Buy(買い)」ボタンをクリックし、「数量(QTY)」を選択して、株数または米ドル額を入力します。取引を発注する前に、「詳細(Advanced)」アイコンをクリックし、「証拠金の確認(Check Margin)」を選択します。すると、注文確認のウィンドウが開きます。
- 左上隅の「注文の詳細(Order Description)」のところに、取引の名目価額が約30,000ドルと表示されます。
- 右下にある証拠金のマトリクスを確認します。
- そこに、「現在(Current)」「変化額(Change)」「約定後(Post Trade)」を示す3つのデータの列があります。それぞれ、「貸付金額を含む資産価値(Equity with Loan Value)」「維持証拠金(Maintenance Margin)」「当初証拠金(Initial Margin)」(新規ポジションを建てるために必要な最低額)、そして最後に「ポジション(Position)」に関する状況です。
- この例では、投資家は特定の株数を購入しようとしており、予想される証拠金所要額への影響を確認できます。
- これは、購入する株式の名目価額と証拠金所要額を比較するうえで、非常に役立つ最初の参照情報と言えます。
- 準備ができたら、「発注(Transmit)」をクリックして注文を送ります。
投資家は現在、自己資金のうち30,000ドルを使用していますが、信用取引を利用すれば、別の株式でも前述の手順を繰り返し、注文確認の画面で証拠金への影響を確認することで、同じく30,000ドル相当の2つ目のポジションをポートフォリオに追加できます。
ご注意ください:証拠金(保証金)を利用した買い付け(信用取引)は、口座の現金がすべて使用されている場合にのみ実行されます。
モニター(Monitor)画面の「ポートフォリオ(Portfolio)」タブに戻りましょう。画面右上に、自身の純清算価値(Net Liquidity)とリアルタイムの証拠金所要額を確認できます。また、左上ではリアルタイムの日次損益(Daily P/L)と評価損益(Unrealized P/L)を確認できます。
次に口座ウィンドウに戻ると、各ポジションを維持するために必要な証拠金を確認できます。2つのポジションの合計額(約60,000ドル)が「純資産評価額」(Net Liquidation Value)の50,000ドルを上回るため、買付力(Buying Power)の表示値が減少している点にご注目ください。このケースでは、まだ買付力がありますが、現在はInteractive Brokersから借り入れた資金で取引している状態です。
また、証拠金所要額が「US Securities(米国証券)」の列に分類され、「US Commodities(米国コモディティ)」とは別に証拠金が計算されている点にもご注目ください。では、注文エントリーパネルでCME原油先物契約を買い付けて先物取引を行った後、口座ウィンドウに戻りましょう。
投資家は原油の銘柄コード(シンボル)を入力し、先ほど株式で行ったのと同じように取引を設定できます。株式と同様に、予想される証拠金への影響の詳細が注文確認のページに表示されます。準備ができたら「発注」をクリックし、注文が約定したら口座ウィンドウに戻ることで、同じ数値がパネルのコモディティの欄に表示されているのを確認できます。先物のポジションについては、証拠金所要額は上場取引所によって設定される点を忘れないでください。一方、株式については、証券会社が差し入れる証拠金の額を決定します。これは流動性、時価総額、特定セクターへのポジションの集中度、その他の要因によって左右されることがあります。いずれの場合も、インタラクティブ・ブローカーズは先物取引所や他のブローカーよりも高い証拠金を課す場合があります。
既存のポートフォリオポジションの証拠金への影響を見る
「ポートフォリオ」タブの銘柄コード(シンボル)をクリックし、ポジションが自分の口座の証拠金に与える影響を確認することもできます。ポップアップ画面の「金融商品情報」までスクロールし、展開ウィンドウで「証拠金への影響を表示」を選択します。情報ボックスが開き、ポジションをクローズした場合の「貸付金額を含む資産価値」(Equity with Loan Value)、「当初証拠金」(Initial Margin)、「維持証拠金」(Maintenance Margin)への影響が表示されます。
注:マージンローンの適用金利は、アクティビティステートメントに反映されます。マージンローンの借入金利の詳細については、当社のウェブサイトをご覧ください。
ウォッチリストの銘柄の証拠金要件を見る
ポートフォリオに保有しているかどうかにかかわらず、任意の銘柄の証拠金要件を確認したい場合は、ウォッチリスト内の銘柄コード(シンボル)を右クリックし、「金融商品情報」(Financial Instrument Info)の展開メニューから「銘柄」(Description)をクリックします。
ダイアログボックスが開きます。左下隅のエリアに、当初証拠金と維持証拠金の要件がロングとショートのポジションごとに表示されます。表示形式は、いずれも証拠金の率として示されます。
銘柄によって証拠金要件の内容が異なる場合がありますのでご注意ください。その要因は、原資産の時価総額や、ボラティリティがどの程度明確か、どのセクターに該当するかなど、さまざまです。証拠金要件が異なる要因は他にもあります。詳細については、インタラクティブ・ブローカーズのウェブサイトをご覧ください。
TWSのリスクナビゲーターを使用して証拠金への影響を推定する
TWSのリスクナビゲーター(Risk Navigator)を使って、ポジションの解消や追加が証拠金要件に与える影響を見たり、個々のポジションまたは資産クラスの必要証拠金を独自に確認することができます。リスクナビゲーターは、非常に強力なリアルタイムのポートフォリオのリスク測定ツールです。「新規ウィンドウ」タブをクリックし、ドロップダウンメニューで「その他のツール」セクションまでスクロールし、「ポートフォリオ・ツール」にカーソルを合わせて、「リスクナビゲーター」から選択オプションを展開します。
ここで、投資家は現在のポートフォリオのライブバージョンである「マイポートフォリオ」や、仮定バージョンの「what-if」ポートフォリオで架空のシナリオを確認できます。これは素早くタスクを実行したい場合に便利な方法で、投資家はいつでも白紙の状態から始めることも、保存した「what-if」ポートフォリオを参照することもできます。クリックすると、新しいWhat-Ifポートフォリオを照会できます。ここでは、「what-if」に既存のポジションを自動入力するか、ゼロから始めるかを選択するよう求められます。「はい」をクリックすると、現在のポートフォリオのポジションが追加されます。
what-ifバージョンでは、投資家はチェックボックスのオン/オフを切り替えて、ポジションを含めたり除外したりできるため、ポジション変更による証拠金への影響を一目で確認できます。
開くと、ここに一連のタブが並んでいます。この例では、左上の「株式」タブに、先ほどの株式ポジションが2つ含まれていることがわかります。また、「コモディティ」タブに原油先物のポジションも1つ表示されています。各ポジションに関連する証拠金要件を確認するには、右端にある「証拠金感応度」タブをクリックします。表示されているすべてのデータを展開するには、「原資産」の列を右クリックして「テーブル全体を展開」を選択します。
- 維持証拠金が画面上部のナビゲーションバーに表示されます。これは、株式とコモディティの両ポジションを含むポートフォリオ全体の必要証拠金の合計額になります。
- 「ポジション増加」のボタンを「ポジションサイズ」に設定し、「リフレッシュ」をクリックします。
- これにより、個々のポジションの内容がページの上部に反映され、ポートフォリオ全体の必要証拠金の総額を確認することができます。
- 「維持証拠金変化額」と「当初証拠金変化額」の各列の値は、ポジションをクローズした場合とポジションを2倍にした場合の証拠金への影響を示しています。
- 投資家は、このタブで名目証拠金の変動幅も確認できます。これは、インタラクティブ・ブローカーズが原資産に対して適用するパーセンテージ・レートにポジションの評価額を乗じたものです。
- 証拠金が適用される際のレートは銘柄ごとに異なり、流動性が低く価格変動性(ボラティリティ)が高い銘柄ほど、通常はより高い証拠金が必要となります。
リスクナビゲーターを使用して、個々のポジションまたは資産クラスの必要証拠金を独自に表示することもできます。この例で株式だけを表示するには、「コモディティ」タブをクリックし、原油先物のポジションの横にあるチェックボックスのチェックを外して、「株式」タブをクリックします。ここで、「維持保証金」の金額の右側に青い渦巻きマークが表示されていることにご注目ください。その上にカーソルを置くと、更新を促すメッセージが表示されます。クリックして更新すると、原油先物のポジションを除いた予測証拠金額が算出されます。
このレッスンでは、取引を執行する前に必要証拠金を表示する方法をいくつか紹介しました。また、取引を行う前にポートフォリオからポジションを簡単に削除して証拠金要件への影響を確認する方法も示しました。








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